桜が散るように ー 新撰組 ー



丞さんと二人、私は土方さんが散った北の地に来た。

お墓があるか分からないから、戦争があった地に花束を置く。


「桜…」


ふと呟いた丞さんが持っていたのは、破れ、汚れた『誠』の旗。


「丞さん、それ、花束の横に置きましょう」

「…ああ、そうだな」


旗を置き、座って手を合わせて瞑目する。



―――土方さん。

お久しぶりです。
こんにちは。


話したいことはいっぱいあるのに、どうやって言葉にすれば良いのか分からなくなってしまいました。


年号が明治に変わりました。

藩は無くなり、代わりに県が置かれました。


全部、変わりました。


でも土方さん。


あなたは、変わらなかった。




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