桜が散るように ー 新撰組 ー
「とりあえず、気ぃ抜かずに見張っとけ。
俺の小姓みてぇなもんだから、俺の部屋に居ない間だけで良い。」
「御意。」
山崎は考える。
もしや……川瀬桜を副長の小姓(掃除係)にして、寝泊まりを副長の部屋でさせるのは自分のためではないか、と。
監察する時間を減らし、自分の負担を減らすためではないか、と。
“鬼の副長”と恐れられてはいるが、実は優しいと分かっている山崎。
この人にだから仕えられる。
そう思い
「……ありがとうございます。」
聞こえないようにつぶやいた。
「あ?なんか言ったか?」
「いえ、何も。では失礼します。」
山崎はそう言って、土方の部屋から出て行った。