桜が散るように ー 新撰組 ー




「どうですか?新撰組のみんなは。」


沖田は注がれたお酒を少しずつ飲みながら、桜に聞いた。



「皆さん……優しいですね。」


「え?」



沖田はビックリした。



皆、少なからず警戒心を持っていて、顔にでている者も多かった。


桜もその警戒心に気づいていると思っていたから、「優しい」が理解出来なかったのだ。



しかし、桜は続ける。




「皆さんが、私に警戒心を持っているのは分かってます。でも、だからこそなんです。」



みんな
いきなり女中になった、どこの生まれなのかも知らない桜に警戒心こそ持っていたが




「誰も、“出ていけ”と言いませんでした。」


追い出さないでくれた。



今はそれだけでいい。







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