桜が散るように ー 新撰組 ー
どんな顔をしているのだろうか。
疑っている表情なのか、
驚いている表情なのか、
はたまた
有り得ないことを言ったことに対して憤っている表情なのか。
しかし、
「…そうか。『へいせい』…、百五十年後の未来から、お前は来たのか」
土方の表情は
予想のどれも裏切っていて
穏やかに微笑んでいた。
「少し、そうじゃねえかと思っていた」
「……え?」
「お前の存在を証明するものは、この時代には無い。考えられることは、お前が偽名を使っているか――」
「そんなっ」
「ああ、偽名は使ってねえんだろ?」
反論しようとした桜を、片手を上げて制した土方は、そう言った。
そして、続けた。
「お前が偽名を使ってないなら――、」
――お前がこの時代じゃねえ時代から来たと仮定すれば、辻褄が合う。
「し、信じるんですか!?こんな奇天烈な話を!?」
「なんだ、嘘なのか?」
「違います真実です!」
「だろ?」
お前は嘘をつけなさそうだからな、と言って土方は笑った。