桜が散るように ー 新撰組 ー
桜は
幼い子供のように頬を膨らませ、ムッとしながら
「…嘘くらい、言えますよ」
と、言った。
「ほお?じゃあ言ってみろ」
「実は私、男なんです」
背後で、忍び笑いをしている声が聞こえた。
チラッと後ろを見ると
俯きながら震えていた。
どうやらツボに入ったようだ。
(さすがに、無理があったよね、この嘘は)
そう思い前を向くと
「残念だな。俺はお前を此処に運ぶ際に、お前の身体を触ってるからな。男じゃないと確信できる」
と、土方が言った。
「嘘ぉ!?え、ちょっ、嘘ですよね!?」
「さあな」
「ぇぇえ!?」
桜が土方の肩を掴んで揺すっても、土方は素知らぬ顔をしていた。
「嘘って言って下さいってば!や、山崎さん!土方さんの言ってることって嘘ですよね!?」
バッと後ろを振り返ると
「俺は副長と四六時中一緒ではないからな。判断しかねる」
「判断してください!」
笑いが収まっていた山崎が冷静に答えた。