桜が散るように ー 新撰組 ー
桜は座り込んで、床に手をつけ、うなだれる。
「お、女として恥です…。お嫁に行けないです…」
そんな桜に、土方は声をかける。
「お前、生娘か」
「きっ、きむ…!?」
何故この場面でこの科白を選んだのか小一時間ほど問い詰めたい。
桜は顔を真っ赤にする。
「……初(ウブ)だな」
「初ですね」
土方と山崎は
やっぱり嘘はつけないな、と確信した。
恥ずかしさのあまりか
畳を指でグリグリする桜。
「…おい。畳が抉れる」
「だって…だって…、土方さんの変態!」
「ぶっ」
桜の叫びに山崎は噴き出す。
鬼の副長が小娘に変態扱いされたのだ。
「……山崎ぃ」
「…、すみません」
次の瞬間には真顔に戻った山崎に、土方はため息をついた。
そして
「まぁ、いい。川瀬は家事と監察をしてもらう。異論も文句も却下だ」
と言った。
「え!?」
「は!?」
桜と山崎は同時に声を出す。
「ちょ、ちょっと待って下さい副長!おなごを監察にする気ですか!?」
「ちょっと待って下さい!『まあ、いい』って何ですか!良くないですよ乙女の死活問題です!」
「アンタが気になるのはそっちなのか川瀬桜!」
ぎゃあぎゃあと騒ぐ二人を、我関せずとでも言いたそうに
わざとらしく両手で耳を塞ぐ土方。