桜が散るように ー 新撰組 ー
――ドスッドスッ
『おわっ!?』
『へっへーん。仕返しです!って……キャー!』
『顔面狙ってクナイを投げるな!』
天井から声が聞こえてくる。
「………」
足音や気配は全くないのに……騒がしいな。と、感心と呆れが混ざった表情になる土方。
「…ま、頑張れ」
再び筆を持ち
手を動かし始めた。
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「ちょっと!動きにくい着物の私と、忍者服の山崎さんとじゃ、私が不利に決まってるじゃないですか!?」
「敵と条件が同じ、若しくは有利になることなんてほぼ無い。少し不利な状況で訓練した方がいい」
(拉致があかない!)
さっきから、捕まりそうになっては間一髪で逃げ、捕まりそうになっては―――…、の繰り返しだ。
今は屋根の上で攻防戦が繰り広げられている。
(山崎さんは強い…)
桜は息を整え、山崎を真正面から見据える。
そして
(一か八かは好きじゃないけど…)
―――ガンッ、キィンッ!
一瞬で山崎の背後に回り込み、クナイで切りかかるが、山崎は手裏剣で受け止める。
高い金属音が鳴る。
「…諦めたのか?」
「ちなみにコレは特攻じゃなく……守りです。私は逃げ切れば勝ちですから」
「なるほど。『攻めは一番の守り』か」
「です!」