桜が散るように ー 新撰組 ー



――ドスッドスッ

『おわっ!?』

『へっへーん。仕返しです!って……キャー!』
『顔面狙ってクナイを投げるな!』


天井から声が聞こえてくる。


「………」


足音や気配は全くないのに……騒がしいな。と、感心と呆れが混ざった表情になる土方。


「…ま、頑張れ」


再び筆を持ち
手を動かし始めた。



*********


「ちょっと!動きにくい着物の私と、忍者服の山崎さんとじゃ、私が不利に決まってるじゃないですか!?」

「敵と条件が同じ、若しくは有利になることなんてほぼ無い。少し不利な状況で訓練した方がいい」


(拉致があかない!)

さっきから、捕まりそうになっては間一髪で逃げ、捕まりそうになっては―――…、の繰り返しだ。

今は屋根の上で攻防戦が繰り広げられている。


(山崎さんは強い…)


桜は息を整え、山崎を真正面から見据える。


そして


(一か八かは好きじゃないけど…)


―――ガンッ、キィンッ!


一瞬で山崎の背後に回り込み、クナイで切りかかるが、山崎は手裏剣で受け止める。

高い金属音が鳴る。


「…諦めたのか?」

「ちなみにコレは特攻じゃなく……守りです。私は逃げ切れば勝ちですから」

「なるほど。『攻めは一番の守り』か」

「です!」



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