桜が散るように ー 新撰組 ー



袖やら襟やらに隠し持っている武器を手にして、

急所を狙うが、やはり流石と言うべきか。


掠りもしない。


(強いっ!当たらないっ!)


「あー、もうっ!」

「苛々するな心を乱すな」

「…分かってますっ」


山崎の手から放たれる手裏剣を避ける。

見てからでは、遅い。

手の動き、体の向きなどから、軌道を予測して避けなければならない。


「っ」


顔の隣を手裏剣が通り過ぎる際に、空気を裂くような音がする。


(あぶなっ)


体制を立て直し、瓦を蹴って跳び、山崎の背後から蹴りを出す


「ちっ」


山崎は舌打ちとともに右腕で蹴りを止めた。

桜は一旦地面に足をつけ、

クナイで山崎の脇腹を刺そうとした。


(…勝った!)


……が、しかし


「はい、お前の負けだ」


一瞬で、後ろから喉に手裏剣が突きつけられていた。



< 80 / 242 >

この作品をシェア

pagetop