桜が散るように ー 新撰組 ー
桜は、ふぅ…と、さっきまでの緊張感を吐き出すように息をついて、バッと振り返って山崎を指差した。
「結果の分かりきった勝負になったじゃないですか!」
「当たり前だ。俺が何回、実戦をして生き残ったと…。練習しかしてない小娘に、負けたあかつきには…、それこそ切腹モノだろう」
「……、小娘って言われた」
ズーンと落ち込み、片手で顔を覆うと、
足がズルッと滑って、体勢を崩す。
(ここ、屋根の上だった…!)
ぐらりと体が揺れ、落ちそうになるが、
「…っ、あ、あぶなっ」
「気をつけろ」
山崎が桜の腕をつかみ、落下を阻止した。
桜は首の後ろに手を当てる。
ひんやりと、冷たい汗が出ていた。
「や、山崎さん」
「なんだ?」
「ありがとうございます。助かりました」
「……ああ」
ニッコリ笑って感謝の気持ちを述べると
山崎は口に手を当てて、ふいっと顔を背けた。
こうして、初めての修行は終わった。
(…そういえば、結局、鬼ごっこじゃなかったような)
(…気にするな)