桜が散るように ー 新撰組 ー
最初の依頼は
次の日
つい昨日渡された隊服に身を包んだ桜を見て、土方は修行の問う。
「どうだったか?」
すると、桜は何を訊かれているのか分からなく、数秒間考え込んだ後、
「あぁ、修行ですか」
と言って、それからげんなりとした表情になる。
「…死ぬかと思いました」
それを聞いた土方は、少し思案する。
(やはり女には、ちと厳しかったか)
と。
土方は、仕事は女中のだけにするか?と言おうとして口を開くが
「屋根から落ちそうになるなんて……冷や汗出ましたもん」
桜の言葉に目を見開く。
てっきり、山崎との修行がきついと言っているのかと思ったが、違ったようだ。
そうか、とだけ言って、部屋から出て行く桜を見送った。
すると、
いつから居たのか
物陰から山崎がスッと姿を現した。
「川瀬桜は、そうとう図太い神経を持っていますよ、副長」
「…みてぇだな」
「でも、そうとう強いです。足音も気配も、鬼ごっこの最中でさえ、無かったんです。おそらくは…」
「それが身に染み付いてしまっていて、習慣になっている…か?」
「はい」
土方は思い返す。
クナイと手裏剣が刺さる音しかしなかった。
二人とも。