桜が散るように ー 新撰組 ー
隊服から忍装束に着替えた桜は、茂みから出てきたが
二枚の布の使い方が分からず、それは手に持ったままだった。
「……あの、コレってどうやって使うんですかね?」
桜が山崎に訊ねると
山崎は無言で桜の手中にある布を取り、短い布を首に巻き付け、長い布で口元を覆った。
「全身真っ黒ですね」
桜が山崎を見て感想を言うと
山崎は布を外し、桜に手渡す。
「肌は光を反射する」
唐突に語り出した山崎。
「俺ら監察方は、闇の中での任務が多い。僅かな光の反射ですら命取りだ」
桜は頷きながら耳を傾ける。
「肌はなるべく隠すこと。光を反射しない黒を着るのが好ましい」
だからその布を着けろ。
と、言われ
桜は素直に、先ほどの山崎を見本に布を身に着ける。