桜が散るように ー 新撰組 ー


そして、日が沈み


「っはぁー!…クタクタです山崎さん…」

「お前はな」

「っ、新人虐めだー!」


ようやく特訓が終わった。

二人は高い木の枝に座っている。


京の景色を一望でき、桜は息をつく。


「うぅう、明日は筋肉痛決定です」

「良かったな、明日も特訓だ」

「どこがいいんですか!?」


山崎は、「冗談だ」と言い、地面に飛び下りる。

桜も続いて飛び下りると、


「明日は休みだ」


と言って、山崎は歩き出した。

桜は一瞬、ポカンとしてから、慌てて山崎の後をおう。


「え、えっ!?特訓しないんですか!?」

「根を詰めすぎてもダメだ。休むときは休め。身体を大事にして……強くなれ」

「山崎さん…」


(そんなに考えてくれてたなんて…、でも)


「休めそうにないんですよねー」

「…は?」


山崎は眉間に皺を寄せる。

桜は指折り数えながら、言う。


「女中の仕事でしょー?土方さんの…今は私のでもあるけど、お部屋掃除でしょー?色々ありますよね」

「…はぁー」


山崎は大きく息を吐いて、額に手を当てて俯く。

桜が女中(おもに土方の部屋掃除だが)でもあるということを忘れていたようだ。



< 89 / 242 >

この作品をシェア

pagetop