桜が散るように ー 新撰組 ー
泣けたらいいのに。
少しは痛みがなくなるかもしれないのに。
私は膝の上でギュッと拳をつくる。
「………。あれ、なんか不味いこと言っちゃいました?」
「らしいな。この馬鹿。」
土方さんはもうひとりの男の頭をひっぱたいた。
男の人は困ったように、頬をポリポリと掻きながら
「なんか気に障ることを言ってしまったようで、すみません。えーっと………名前、知らないです。」
と言った。
「そういえば、自己紹介してなかったな。
俺は土方 歳三。ここでは副長を務めている。」
「僕は、沖田 総司です。一番隊隊長です。」
土方さんと沖田さんが私を見ながらそう言った。
私も布団から出て、居住まいを正し、頭を下げた。
「私の名は、川瀬 桜です。」