桜が散るように ー 新撰組 ー
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「……ん」
桜は、開いた襖から差し込む、朝日の強い光で目が覚めた。
(なんか…、久しぶりに夢を見たなぁ)
お母さんとお父さんの夢を見た。
あまりよく覚えてはいないが。
桜は髪を整えるため、手鏡を手に取り、髪に櫛を通すが
「え……コレ」
(涙の跡…?)
頬に、涙が流れ、乾いた跡があった。
横に流れた跡があることから、寝ている時に泣いたんだろう。
桜は、すでに起きて仕事をしていた土方に訊ねようとして
「あ、あの、土方さん…」
「あ?」
「いやあのその…、すみません。寝てないんですか?」
振り返った土方の目の下にある隈を見てしまった。
「仕事が溜まってたんだよ」
「あ、はい」
「……んだよ」
「いえ、あの、訊きたいことがあって!」
眉間にシワを寄せ、凄む土方は、持っている筆で人一人くらい殺せそうな様子だった。
桜はチラッと土方の機嫌を伺いながら訊ねる。
「私…、寝てる時、何か寝言言っていたとか唸っていたとか、ありませんでした?」
そう言うと、土方は少し上を見ながら考えて
「さぁな、まぁ寝言は言ってたな」
と、言って
書類の方に向き直った。