桜が散るように ー 新撰組 ー
解放されたこめかみを労るように撫でる桜は、山崎を恨めしげに見つめる。
山崎はその視線を受け流す。
「……酷い」
「有ること無いこと言うからだ」
「全部事実なのに…」
「何か言ったか」
「ゴメンナサイ」
すると、二人の会話を聞いていたお美弥は、フフッと上品に笑った。
「仲が良いのね」
その言葉を耳にした桜と山崎は反論する。
「仲なんか良くない」
「仲なんか良くないです!」
同時に同じセリフを言った二人は目を合わせ、すぐに逸らす。
「…俺は戻る」
「私、朝ご飯作ります…」
何となく気まずいような、気恥ずかしいような気がしたので、それぞれの仕事をすることにした。
そんな二人を見て
「(やっぱり仲良しなのね、若いって良いわねぇ)」
そう思ったお美弥さんの年齢とはいったい…。