許されない、キスをしよう。
事務所に行くと、能に出てくる鬼のお面のような顔をした皆川さんと、ソファーに沈み込むように座った社長の姿。
…そして、鳴りやまない電話の音がむなしく響く。
皆川さんは私の姿を確認すると目線で私にソファーに座るよう指示した。
「…これを見なさい。」
無造作にバサリと置かれたのは…
週刊誌。
そこには、私と蒼が二人並んで歩く姿が大々的に載せられていた。
「これ…」
「…あれほどスキャンダルには注意するように言ったはずよね?」
厳しい表情で淡々と告げる皆川さん。
「…すみません」
「謝ってすむことじゃないの!」
私が謝り終わらないうちに皆川さんの大声が事務所に響く。