許されない、キスをしよう。



「いや、りっちゃんを守りきれなかった僕の責任でもあるんだから…すまなかったね。」

そう言うと、社長は微かに笑顔を見せてくれた。




「…律萪、怒鳴ったりしてごめんなさい。一番混乱しているのは律萪よね。」


皆川さんは深いため息をついたあと、すまなさそうにそう言った。



「皆川さん…」


ここまで支えてきてくれた人たちに、こんな言葉をかけさせたくて私は今までやってきたんじゃない。
悔しさと悲しさと、いろんな感情がぐちゃぐちゃになって胸が痛くなる。





「…だけど、starプロの出方を見ないと手を打てませんね。」


深刻な顔で、皆川さんは呟く。
…starプロは大手プロダクションだから、こういうことの対応の仕方もいとも簡単にこなすはず。




…それに。
スキャンダルになって先にバッシングを受けるのは、人気のない方。
…つまり、私。


潰れるのなんて、すぐだ…。






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