許されない、キスをしよう。
「…律萪、今日は帰りなさい。さっきドラマ撮影はとりあえず今日は中止って連絡が来たわ。」
皆川さんがおもむろに立ち上がってそう言った。
「…はい。」
私も素直に従う。
結局、マンションに報道陣がいるといけないから、と皆川さんが車で送ってくれることになった。
マンションの車両用の出入口から入って、そのまま自分の部屋へと直行する。
「じゃあ、私は帰るけど…。」
部屋まで同行してくれた皆川さんが複雑そうに口ごもる。
「…大丈夫です。不用意に外には出ませんから。…わざわざありがとうございました。」
皆川さんにお礼を言って、私は自分の部屋にこもった。