許されない、キスをしよう。
「…う…」
意識が戻るにつれて、頭の痛みがじかに伝わってくる。
「…律萪?目が…覚めた?」
声がした方をみると、ひどく疲れた顔をして微笑む皆川さんがいた。
「皆川…さん?私…」
記憶が曖昧で自分が今どうしているのかも分からない。
「あなた、倒れたの。安心して、ここは病院よ。」
言われてみれば、薬品の匂いが鼻をつく。
「…っ仕事!撮影、どうなったんですか!?」
朦朧とする頭の中で、撮影のことだけがよぎった。