許されない、キスをしよう。
「…ご迷惑をおかけしました。よろしくお願いします。」
休養期間を経て、私は現場に復帰した。
プロデューサーにあいさつしにいくと、笑顔で迎えてくれた。
「律萪ちゃん、お互い頑張っていこう。」
そんな言葉に、私は胸が詰まる思いでいっぱいになる。
改めて、『芹葉』を演じ切りたいと思った。
「…律萪ちゃん。」
プロデューサーと話し終えた後、懐かしく感じる声が聞こえた。
「あ…」
上手く、笑えない。
私は思わず視線を落としてしまった。