許されない、キスをしよう。
「…律萪ちゃん、ごめん。」
あまりにも静かな謝罪の言葉に、私は思わず顔を上げる。
「…蒼、」
「俺のせいで…ごめん。」
蒼の言葉に、私はふるふると頭をふる。
伝えたいことはたくさんあるはずなのに、声が出てこない。
「…安心して。もう、必要以上に近寄らないから。」
「蒼、ちが…!」
「スタンバイお願いしまーす!」
私の声は、ADの人の声にかき消されてしまう。
私は、蒼に何も伝えることが出来なかった。