許されない、キスをしよう。
いきなり、肩をものすごい力で掴まれた。
「いっ…」
あまりの苦痛に顔を歪ませると、低くせせら笑いが聞こえた。
…それも、一人じゃない。
あわてて後ろを向くと、同年代くらいの女の子と男の人が何人か立っていた。
「…なにか、用ですか?」
キャップを深くかぶり直しながら、私は静かに尋ねた。
「…こんなもの無駄よ。アンタ、律萪でしょ?」
低い女の人の声が響くと同時に、私は細い路地に引っ張りこまれた。