許されない、キスをしよう。
おもいっきり、壁に押さえつけられる。
「…どうして、こんなことするんですか?」
あくまでも冷静に、私は相手に尋ねる。
ピクリと向かい合った女の人の眉毛が動く。
「そんなこと、自分が一番よぉーくわかってんでしょ?」
後ろでケラケラと乾いた笑い声が聞こえる。
…多分、蒼のファンだ。
「…なにがしたいの?」
尋ねながら、私はポケットの中のケータイを触る。
誰でもいい、繋がれば助けが呼べるかもしれない。
「…私たち、アンタに消えてほしいだけ。二度と、蒼にそのツラ見せられないようにしてあげようって思ったの。」
向かい合った人はニタリ、と、不気味なほどの微笑みを見せた。