許されない、キスをしよう。
…その時。
ブブブ、とバイブにしていたケータイが震えだした。
ヤバイ、ばれる!
急いで通話ボタンを押そうとするけれど、手が震えて上手く押せない。
「ダメだよ、こんなことしちゃ。」
ニヤニヤと笑いを浮かべた男が私の手をねじりあげる。
「いった…!」
その拍子に、ケータイが手から滑り落ちてしまった。
カシャーン…
鈍い音を立てた後、虚しく地面を滑っていく。
…もうだめだ。
このまま私、好きにされちゃうのかな…。
絶望が私を覆って、ふと蒼の顔が浮かんだ。
もうやだ…