許されない、キスをしよう。
「…そ、う…?」
「ごめん、警備員さんなんて嘘。…すぐに、助けられなくてごめん。」
そう言ったっきり黙ったまま、私をきつく抱き締める蒼。
私は安心してしまって、蒼に体を預けた。
「蒼…」
「…なーに、律萪ちゃん。」
「…何にもない、よ…。」
「ふっ…変な律萪ちゃん。」
お互い、ちゃんと分かってる。
本当は、仕事以外で顔を合わせることさえ許されない。
ましてや、こんなふうに触れ合っちゃいけない。
私の恋は、許されない。
ねぇ蒼…。
かけつけてくれて、ありがとう。
守ってくれて、ありがとう。
好きだよ…
言葉にしちゃいけない代わりに、私は蒼の服をギュッと握り締めた──…