許されない、キスをしよう。
「もう!なにされるのかと思ったよ!」
私が抗議すると、湊くんは愉快そうに笑いながら謝った。
「ごめんごめん。律萪ちゃん、からかいがいがありそうだなーと思って。あ、モデルさんの顔はまずかったかな?美羽がいたら怒られそう。」
「ふふっ…」
美羽ちゃんを思い出していやそうな顔をする湊くんを見て、思わず笑ってしまう。
すると、湊くんも微笑む。
「律萪ちゃん、笑顔だよ。」
湊くんはそう言って自分の口角を指先で上げて、ロケバスから出ていってしまった。
多分…
湊くん、私のこと心配して来てくれたのかな?
さりげない湊くんの気遣いに、少し胸が軽くなった気がした──…