許されない、キスをしよう。
「ごめんね美羽ちゃん、わざわざ来てもらっちゃって。」
「いいの!私がりつねぇに会いたかったんだから。」
美羽ちゃんの笑顔に私も自然と笑顔になる。
「りつねぇ、大丈夫?」
急に不安そうな顔になる美羽ちゃんに、何のことか分からず首をかしげると、美羽ちゃんは少し口ごもってから言った。
「蒼さんとの、スキャンダル…」
「あぁ…」
私は曖昧に微笑んだ。
あれから、私に依頼がくる仕事は激減した。
「ひとひらの恋」関係の仕事以外は皆無と言っていいほど…。
いまだに売名行為だと思っている人も多くて…
それに、蒼のファンからのバッシングも止まない。
「…りつねぇ、ごめんなさい…」
私が考え込んでいると、美羽ちゃんが泣きそうに謝った。
「ど、どうして美羽ちゃんが謝るの!美羽ちゃんはなんにも悪くないのに!」
あわてて美羽ちゃんの顔を覗き込むと、美羽ちゃんは不安げに顔を上げる。
「りつねぇに、嫌なこと思い出させちゃったし…。」
「そんなことないよ。それに、美羽ちゃん見たら元気出たよ。」
私が笑って言うと、美羽ちゃんもやっと笑顔になってくれた。