許されない、キスをしよう。
「白川さん、そろそろスタジオ入りしてください。」
ADの人が、そう声をかけてくる。
「はーい!今行きます!美羽ちゃん、そろそろ行こっか。」
「うん!」
私と美羽ちゃんは、二人で楽屋を出た。
美羽ちゃんと歩いていると、廊下で千住さんにすれ違う。
「…こんにちは。」
目が合ったから、一応挨拶してみたり…
っていっても目が合うというよりは睨まれたの方が適切な表現かもだけど…。
「白川さん。」
「…はい?」
突然名前を呼ばれて、私は肩をびくっと震わせて振り返る。
「…後で、話があるの。時間をくれる?」
「話…?」
「えぇ。とっても大切な、話。」
そう言って千住さんは薄く笑う。
「…分かりました。」
思わずうなずいてしまう。