許されない、キスをしよう。
「…千住!!」
廊下に、声が響く。
「…なに?」
千住さんは来た人物を見て微笑んだ。
「千住、あんた…」
「蒼…嘘だよね?」
千住さんを睨み付ける人物、蒼を私はすがる気持ちで見る。
「律萪ちゃん…」
…ひどく悲しそうな顔をした後、蒼は私から目線をそらした。
…蒼、それが答えなの?
私と蒼が一緒にいた時間は、蒼にとっては『演技』でしかなかったの?
聞きたいことや言いたいことはたくさんあるのに、言葉に出来ずに喉に引っ掛かる。