許されない、キスをしよう。



「…どうして?」

出ない声を絞りだして、私は尋ねる。
どうして…
蒼は、私を騙す必要があったの?




「事務所の利益のためよ。」

きっぱりと、千住さんは言い切った。



「利益…?」

私を騙すことと利益とがつながらなくて、私は単語を繰り返す。



「芽は若いうちに摘み取っておくんですって。…どうして社長があなたみたいな人の将来を見込むのかはわからないけ…」


「千住!!」


千住さんの言葉を、蒼は悲痛な面持ちで遮る。




「…千住、それをどうしてあんたが知ってるんだよ。」


低い声で、蒼が唸るように千住さんに問う。






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