許されない、キスをしよう。





ドンッ

前を見ないで走っていたから、おもいっきり誰かにぶつかってしまった。



「ごっ…ごめんなさい!」


全然ダメダメだけど、私もこれでも女優のはしくれ。
泣き腫らした顔なんて見られなくない。
だから、うつむいたまま謝った。




「律萪…ちゃん?」

ぶつかった人が、私の名前を呼んだ。




あわてて顔を上げると…


「湊くん…」




どうやらぶつかってしまった人は、湊くんらしかった。




「ごめんね湊くん。…私、急いでるから。」


湊くんと目を合わせられないまま、私はその場を去ろうとした。







< 155 / 250 >

この作品をシェア

pagetop