許されない、キスをしよう。
「笑って!」
そう言うと、湊くんは前みたいにムギュッとほっぺたをつねってきた。
「ひはほふんひはひ!!」
湊くん痛い!
そう言おうと必死に口を動かすと、湊くんはまた笑いだす。
「はー、律萪ちゃんはいつでも面白いね。」
目の端の涙を拭きながら、心底可笑しそうに言う湊くん。
「…湊くんは、意地悪な近所のお兄ちゃんみたい。」
皮肉を込めて、湊くんに言う。
「…俺ってさ、律萪ちゃんの中でそういうポジションなわけ?」
何気なく聞いてくる湊くんに、私は精一杯頷いた。
「…ふーん。意地悪っていうのは、納得できない。」
ふてくされたように言う湊くんに、私はまた、小さく笑ってしまった。