許されない、キスをしよう。
「睡眠不足なの?ちゃんと寝なきゃダメだよ?」
いきなり、私とメイクさんの会話に入ってくる人物。
「蒼くん!」
少し興奮気味の声を上げるメイクさん。
「あら、心配してあげるなんて優しいのね。」
メイクさんは満面の笑みを浮かべてそう続けた。
…絶対騙されてる!!
アイツがそんな優しいヤツなわけがない!!
「仕事仲間を心配するのは当然のことですよ。」
蒼はにっこりと王子スマイルを浮かべて爽やかに言う。
「律萪ちゃん、今日も撮影頑張ろうね。…寝不足だからって、俺に迷惑かけないでね。」
蒼は私の耳元でそう言うと、意地のわるーい笑顔を浮かべて撮影場所に入っていった。
…ムカつくーっ!!!
なんなのよ!!
私は出来る限りの目力で蒼を睨み上げた。