許されない、キスをしよう。



そんな私に、社長はもっと冷酷な現実を告げた。


「…もし要求を飲まなければ、shineの仕事にも圧力をかける…そう言ってきている。」


「…。」




私は目の前が真っ暗になった。
私のせいで、大好きなshineの二人にまで迷惑をかけるなんて…




「だけどねりっちゃん、颯貴と千景に言ったら、俺たちはどうなってもいいからりっちゃんだけは傷つけないでって言ってきたんだ…。」


「…さっくんとちぃくんが?」



「…二人はりっちゃんが大好きだから。もちろん、僕も、皆川くんもだけどね。」

そう言うと、社長は少しだけ笑った。




さっくん、ちぃくん…
私のために、そんなこと言ってくれるなんて…。


大好きな大好きな藤宮芸能事務所のみんなをこんな状況に陥らせてしまったことへの悔しさや後悔、みんなの優しさの嬉しさ、いろんな感情が混じって、私の目からは涙が溢れた。





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