許されない、キスをしよう。
「…社長?夜分遅くにごめんなさい…。」
「りっちゃん?どうしたの?」
決めた答えを告げるため、社長に電話をかける。
一番に、社長に伝えたかった。
…社長は、私を発掘して、磨き上げてくれた人だから。
「…そうか。りっちゃんは、本当にそれで後悔しない?」
私の決意を話し終えると、社長は静かにそう言った。
「…はい。考えた末の結論ですから。」
はっきりと社長に言うと、社長の微かな笑いが聞こえた。
「…りっちゃんらしいなと思ってね。」
そう言う社長の声は、今までにないくらい優しいものだった。