許されない、キスをしよう。





「…社長?夜分遅くにごめんなさい…。」


「りっちゃん?どうしたの?」




決めた答えを告げるため、社長に電話をかける。
一番に、社長に伝えたかった。

…社長は、私を発掘して、磨き上げてくれた人だから。






「…そうか。りっちゃんは、本当にそれで後悔しない?」

私の決意を話し終えると、社長は静かにそう言った。


「…はい。考えた末の結論ですから。」

はっきりと社長に言うと、社長の微かな笑いが聞こえた。



「…りっちゃんらしいなと思ってね。」

そう言う社長の声は、今までにないくらい優しいものだった。





< 167 / 250 >

この作品をシェア

pagetop