許されない、キスをしよう。
「…みんな、今日までよく頑張ってくれた。このシーンが終われば律萪ちゃんも蒼くんもクランクアップだ。…最後まで気合い入れていこう!」
プロデューサーの声に、その場の全員が気合いを入れ直した。
少し離れたところに立っている蒼の背中を眺める。
…芹葉も、こんな気分だったのかな。
好きで好きで好きでたまらない、そんな人に自分から別れを告げる芹葉。
私を手放していいよ、そう言う芹葉。
ホントは、きっと誰よりも洵を好きなのに…。
そんなことを考えるうちに、自然と自分ともシンクロしてしまい、気分が高まっていった──…