許されない、キスをしよう。




「…何言っても許されないのは分かってるけど、さっき言ったこと、俺の本心だよ。」

再び顔を上げた蒼は、困ったように笑っていった。




「…うん。ありがとう…。」

次は、私が顔をあげられなくなった。
もう…
会うこともなくなるのかな。
そう思うと、切なさがこみあげてきた。




「私も…蒼のヒロイン役になれてよかったよ。」



一番伝えたかった気持ちは決して口にはできないけれど…
私の気持ちをできるだけ伝えたかった。





「じゃあ、ね。また、共演できるといいね。」


きっと、もう共演できることはない。
…蒼と話すこともできなくなるかもしれない。




でも…
わずかな希望を胸に抱いて、私はこの舞台から降りよう…。









< 185 / 250 >

この作品をシェア

pagetop