許されない、キスをしよう。
それにしても…
この子、どこかで見たような気がするのは気のせい…?
私がぼんやりとそんなことを考えていると、その子があっと小さく声を上げた。
「あんた、白川律萪でしょ。」
一瞬ポカンとしてしまい、反応が遅れてしまった。
「…そう、です。」
…私は、白川律萪。
今は、堂々と名乗れる気がする。
私はしっかりと頷いた。
「…ふふ、やっぱりね。」
そう言ってなぜか得意げに笑う男の子に、どこかデジャヴを感じる。
「…ねぇ、君…。どこかで会ったこと、ない?」
私が聞くと、男の子は一瞬固まったあと、ケラケラと笑いだした。
「…うーん。どうだろ。俺と会ったことはなくても、俺の生き写しにならあるかもよ?」
おもしろそうに笑う男の子は、どこか得意げだった。
私が首をかしげながら立っていると、男の子は自転車に乗ったまま少し私に近づいてきて、急に真剣な表情をした。