許されない、キスをしよう。
「りっちゃんのヒロイン役が決定したんだよーーーっ!!!」
そう言うと持っていた資料を全部宙に投げる社長。
「社長!大事な資料でしょう!?何してるんですか!!」
皆川さんにそう言われて我に返った社長は、アワアワと資料を拾った。
…こんな社長でこの事務所は大丈夫なのかな。
「…で、ヒロイン役って?」
状況が落ち着いた後、皆川さんがソファーに座りながら社長に尋ねた。
「それが結構大きな役でね、まぁ簡単にいうと恋愛ドラマなんだけど。それのヒロイン役なんだよ!!」
社長は興奮気味に言う。
「…相手役って、誰なんです?」
皆川さんが何気なく聞いた。
…恋愛ドラマでヒロインってことは、相手役がいるってことだ。
そうなると、そういうシーンもあるワケで。
演技といえど、そこは気になるところだ。
「それが…」
急に、社長が小さくなる。
「…社長?」
私が社長に声をかけると、社長はごめん!!と謝りだす。
「実は、相手役は蒼くんなんだ…」