許されない、キスをしよう。





「…律萪ちゃん、何してんの?」

呆れたようにため息をつく蒼。



一瞬、ズキリと胸が痛む。
…やっぱり、迷惑だったかな。




「…私、蒼に言いたいことがあって…。」


息を整えながら蒼を見上げると、蒼が鋭い視線を私に向けていた。




「…えと、ごめんなさい、呼び止めて…」

言いたいことは山ほどあるはずなのに、蒼の冷たい態度に泣きそうになる。


…ダメだ。
ちゃんと、伝えなきゃ…。


そう思うのに、拒絶されることが怖くて、声が出ない。




「…私っ…蒼のことが…っ…」


溢れそうになる涙をこらえて、震える声を振り絞る。





…その時だった。










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