許されない、キスをしよう。
「…そうですか。」
こんなところまで蒼と一緒って!
ヒロイン役に抜擢されたのは思ってもみない幸運だけど…
相手役が蒼。
…私って、とことんついてないよなぁ…。
「まぁ、フレッシュな役者を選べばあの子になるわよね…。」
皆川さんが苦笑気味に私を見ながら言う。
…でも。
これが成功すれば、女優としても周りが認めてくれるかもしれない。
「…社長。やらせてください!!お願いします!」
私は、席を立って社長に頭を下げる。
「りっちゃん…。頑張ってくれよ!我が事務所の命がかかっているんだから!!」
社長は私の肩をぽんと叩いて微笑んでくれる。