許されない、キスをしよう。
…で、今に至るんだけど。
「これが原作の本なんだけど。演技に役立てるのに、一度読んでみるのがいいよ。」
そう言って、社長は一冊の本を差し出した。
薄いさくら色の本。
タイトルは、『ひとひらの恋』。
「ひとひらの…恋?」
「あぁ、霧島雫の本ね。」
私がぱらぱらとページをめくっていると、皆川さんが頷きながら言った。
「皆川さん、この本知ってるんですか?」
「えぇ。でも…この本、切ないストーリーだったと思うんだけど…。」