許されない、キスをしよう。
霧島さんとプロデューサーは上機嫌で、脚本の準備に取り掛かるとテレビ局に帰ってしまった。
その後、現場は流れ解散な雰囲気になり、私と蒼は二人になった。
「今日は、なんだか長い1日だったな…。」
そうつぶやくと、蒼がクスリと笑った。
「確かにね。」
「…もう、他人事みたいに。一番びっくりしたのは蒼が帰ってきたことなんだから。」
「ごめんごめん。」
軽い口調で蒼は謝る。
そんなやりとりをしながら、私たちはぼんやりと夜景を眺める。
ここは少し小高くなっていて、夜景が一望できる。
「あ、そうだ。霧島さんに聞いたんだけどさ、洵と芹葉、最後には結ばれるらしいよ。」
「…そうなの?ってか言わないでよ!ラスト楽しみにしてたのに!!」
蒼が漏らしてしまった情報に、私は頬を膨らます。
怒ったふりをして蒼に背を向けると、後ろから抱き締められた。