許されない、キスをしよう。



「手、出して。」


そう言われて、私は言われるがまま蒼に手を差し出す。




「…はい。よかった、ぴったりだね。さすが俺、律萪ちゃんのことは完璧だね。」


冗談めかして言う蒼は、私の指に夜景より輝く指輪をはめた。





「…蒼…。」


いろんな気持ちが溢れて、言葉が出てこない。
代わりに、涙が頬をつたう。



「…やっと、律萪ちゃんを俺のものにできる。」

そんな私を見ながら、蒼は少し意地悪な笑顔を浮かべて言う。




「…もぉ…蒼には振り回されっぱなしだよ…。」



出会ったときから、蒼には振り回されっぱなしだった。
出会ったときは…
蒼がこんなにかけがえのない存在になるなんて夢にも思わなかった。


俺様で意地悪で極悪人。
なのに仕事は完璧で、他の人には愛想振りまいて。

私にとって一番のライバルで。




だけど…
いつのまにか、こんなに好きになってた。
好きで好きで、たまらなくなるくらい好きで。




きっともう、私は蒼から離れられない。









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