許されない、キスをしよう。
「『…洵。私…、洵に出会えて、すごく幸せだなって思うの。』…あー、もう!なんか違う!」
一人で練習してみても、なかなかうまくいかない。
自分の中で、焦りとイラつきだけが溜まっていく。
「律萪ちゃんは頑張りすぎ。」
コンクリートの階段にしゃがみこんでいると、突然頬に冷たさを感じた。
見上げると…
「…蒼。」
「はい。水分補給も必要だよ?」
そういって、蒼は私に缶のスポーツドリンクを差し出した。
「…ありがとう。」
お礼を言って、私はプルタブをひいてスポーツドリンクを一気に飲み干す。