許されない、キスをしよう。



それから撮影位置に戻ると、蒼が近づいてきた。



「律萪ちゃんのマネージャーさんてなんかおっかないんだけど。また、しぼられてたでしょ?」

面白そうに笑って、そんなことを言いに来た。



「おっかないって…まぁ、ちょっと怖いところもあるかもだけど…。」

私が答えると、蒼は憐れみの笑顔をむけてくる。



「まぁ頑張って。」


「もう、他人事だと思って楽しんでるでしょ。サイテー。」


「俺のどこがサイテーなわけ?最高の間違いでしょ?」




いつのまにか、私は蒼と普通に冗談を言い合える仲になっていた。
嫌いだとか、ライバルだとか、そんな意識よりも共演者という仲間の意識の方が、いつのまにか勝っていた。





…だから、気付かなかった。
このまま撮影が上手くいくと、信じていた──…










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