いちごいちえ
新月
瑠衣斗の気持ちに触れた気がした。
瑠衣斗の想いが、私の中に流れ込んできたような気がした。
るぅは、今までどんな人生を歩んできたのだろう。
何を思い、何を感じ、何を考えて。
「…ここなら、久斗君、寂しくないね」
「そうだな」
目前に広がる町並み。
木々が避けるようにして、ここからの景色がずっと先まで眺める事ができるのだ。
その景色の中に広がるのは、瑠衣斗の地元でもあり、久斗君の地元。
そして、おじさんやおばさん、由良さんやみんなが住む町。
さっきまで自分も居たかと思うと、なんだか不思議な感覚でもあるが、今はそれ以上に嬉しく思う。
みんなの暖かい気持ちが、なんだか物凄く嬉しいんだ。
「いつか、あいつらも紹介できたらいいな…って思ってる」
「そうだね。またみんなで…来たいね」
「ちょっと…いや、だいぶうるさいけどな?」
目が合うと、どちらともなく笑い出す。
また、ここに来れるよね?
みんなと一緒に、るぅの地元まで。
私は、未来への約束があるというだけで、こんなにも強くなれるんだ。
そして、夢見た未来を見れなかった人達の分まで、自分の未来を夢見なきゃいけないんだ。
過去を振り返る事をしてもいい。でも、それができるのは、今生きているからこそ。
未来がある私達だからこそ、過去を振り返る事もできるのだから。