いちごいちえ




「ねえ、どんな兄弟だった?るぅと久斗君」



「俺と久斗?…んー?歳が一番近かったから、喧嘩ばっかしてたかな」



日差しが強いのに、風がサラサラと優しく涼しい。


山の気候のせいか、上から涼しい風が降りてきているように感じる。


穏やかな時間の流れに、瑠衣斗が思い出と言う彩りを添えていく。


生きていれば、今年で18歳。


そして、私の弟も、生きていれば今年で18歳。



偶然なのか、神様の悪戯なのか。



久斗君と自分の弟が被ってしまう。


瑠衣斗の事がやたらとお気に入りで、私を押しのけてまでして瑠衣斗にくっついていた私の弟。


久斗君には会った事はないが、きっと久斗君と私の弟は、良い友達になれたんじゃないかと思える。



「勇磨と初めて会った時さ、すごく久斗と被った。だからってワケじゃないんだけど、可愛がってやりたくなったなあ」



「…え?」



「初対面でいきなり、ももの事が好きって事見抜かれた」



勇磨とは、紛れもなく私の弟の名前だ。


初めて瑠衣斗が私の家に上がったキッカケは、勇磨が理由でもある。


やたらと瑠衣斗に絡んでいたけれど、そんな話までしていたなんて……。



そう考えた所で、ハッとする。


初対面で見抜かれた……?


るぅって、その頃には既に私の事、好きだった…って事だよね?それを勇磨に見抜かれちゃうなんて。



「私、やっぱり鈍感だった…?」



「いや、今も健在だろう」




久斗君の前で、綴る2人の思い出。


なんだか久斗君にも聞かせるような、語りかけるような瑠衣斗に、自然体になれた。
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