いちごいちえ




「顔真っ赤だぞ?」



「もっ…もおっ!!」



悪戯っぽく笑う瑠衣斗に対して、自然と頬が膨らむ。


恥ずかしくて顔が熱くて、言葉なんてそれ以上出てこなかった。



「おーし、これでちょっとは頑張れる」



「ちょっと?ちょっとってなによっ」



「…ん〜?」



勿体ぶるように、瑠衣斗がシートベルトを締める。


そのままハンドルを握り直すと、チラリと私に視線を向け、見せつけるようにして口角を釣り上げ、口元だけでいやらしく笑う。


思わずそんな表情に見とれてしまいそうになった時、瑠衣斗がゆっくりと口を開いた。



「また足りなくなったら、今度はももに沢山キスしてもらう。だから今は、ちょっとな」



「なっ…」



「俺、燃費悪いから」



完璧に茹で蛸状態の私に対して、瑠衣斗がクスクスと笑う。



もお〜っ!!

なんかすっごいからかわれてる気がするんだけど!!



微かに唇に残る瑠衣斗の感触に、胸がドキドキと高鳴る。


恥ずかしくて、照れ臭くて、胸がドキドキとして苦しい。



「そんなむくれるなよ。行くぞ?」



瑠衣斗が笑いながら言うと、ゆっくりと車が進み出す。



瑠衣斗は可笑しそうに笑うけど、私はいっぱいいっぱいだよ。
付き合っていく内に、いろいろな事が慣れるとか、普通になるとか聞くけれど、私はいつまで経っても瑠衣斗にドキドキしてしまうんだと思う。



やっぱり赤いままの私を瑠衣斗は笑ったが、そんな瑠衣斗の笑顔が可愛くて、私はこっそりと笑っておいた。



一緒に居て笑える事が、物凄く心地よかった。
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