いちごいちえ




瑠衣斗の言葉に、おずおずと目だけで瑠衣斗を見上げる。


きっと真っ赤になってるに違いないので、なんとも間抜けな顔に違いないのだけど、今の私にはどうしようもない。



「とりあえず、隼人と約束しちまったしなあ〜。恨まれるのも癪だし、夜まで我慢するかな」



なんとなく、色々と想像させるセリフに、今度こそ思いっきり俯いた。


勢いがありすぎて、ブンと風を切る音がしたかもしれない程に。



昨日の夜も、その前の夜も、瑠衣斗は私に、言葉にはできないような意地悪ばかりした。


そのおかげか、私はぐっすりと眠れたけれど、瑠衣斗はやけにご機嫌な気がする。



でも、結局の所、瑠衣斗は最後までしようとはしなかった。



それどころか、それ以上は手を出してはこようともしなかった。




大事にしてくれてるんだろうけど、でもそれは男の人にとっては物凄く辛い状況に違いないと思う。




だから逆に……るぅが欲求不満になっちゃうんではないかと。


もんもんとしてしまうんではないかと。


むしろ、こんなにもご機嫌で饒舌なるぅが、不気味にも感じてしまうんですけど!!!!




嵐前の静けさ……?



なんて怖い事を想像して、思い切り打ち消した。




「ぶっ…真っ赤だけど」




笑いを吹き出した瑠衣斗が、堪えられないように肩を揺らして笑う。



「違う〜もうほっといてよ〜」




恥ずかしすぎて顔も上げれない私は、もうどうにかなってしまいそうな程パニック状態だ。



「何だよ、やらしいなあ」



「ちょっ…るぅが意地悪ばっかりす…る…う、ううう…」



あぁもう…穴があったら入りたい。


私にはるぅに、太刀打ちなんてできそうもないよ。
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